若手社員を活かす人事評価制度
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若手社員を活かす人事評価制度 (2023年1月20日更新)藤原敬明 |
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「転換期にさしかかった人事評価制度」 1. 若手社員の能力を活かす会社は伸びている 最近、若手社員を管理職等に登用して業績を伸ばしている企業が増えています。 若手社員の着眼点や発想力に、高齢社員の業務能力とうまくかみ合わせて企業業績を伸ばしているように見受けられます。 若手社員から高齢社員までの会社全体の中で雇用を考える時代を迎えつつあり、それに対応していく時代になりつつあります。 具体的には若手社員の着眼点や発想力を、高齢社員が試作品作成等のサポートしてそれを製品やサービスにしていく体制が重要になっています。 突飛な考えのように見えますが、ベンチャー企業の場合は若い社長と社員で主要な業務をし、財務や総務は高齢に近いベテラン社員に任せている例があります。 食品会社等では若い女性を採用し、商品開発や用途開発を任せている会社も増えています。 ファブレス企業(工場を持たない企業)は若手社員を中心に商品企画を行い、生産は委託先企業で行っています。 ベンチャー企業のような活力を取り戻すためには、若手社員の活用は欠かせないものとなっています。 変化が激しい時代にあって、若手社員は新しい価値観を持っており、それによって新しい製品やサービスが開発されてきます。 企業は若手社員を活用して、いち早く新しい製品やサービスに対応して成長することができます。 若手社員の発想力に過大な期待をしている訳ではなく、時代の変化は若手社員やベテラン社員にも平等に来ています。 しかし、ベテラン社員には今まで築き上げてきた実績や経験があり、それが邪魔して新しい変化を受け入れることを拒絶しやすくなっています。 一方で若手社員には守らなければならない実績や経験が少ない分、新しい変化を受け入れやすく、実際に受け入れています。 若手社員の発想を取り入れることは、時代の新しい潮流を取り入れ、会社を環境に合わせて変化させることに結び付くのです。 企業には継続企業(ゴーイング・コンサーン)という性格があり、社員の世代を超えて存続し、そのために受け継がれていかなければならないものがあります。 それは中核能力(コアコンピタンス)と呼ばれるものです。その代表的なものは組織の中核能力を担う経営体制と営業にあります。 管理職定年の目的は新しい技術や価値観を導入して、継続企業としての経営環境に適応し活力を維持するためです。 責任と権限を持つことは、特に若い人にとって成長への大切なきっかけとなるでしょう。 また営業活動を中核能力とする企業では、若い営業員の教育・育成のために高齢になると営業の役目から退くことも実施されています。 役目から退いた高齢社員は今までの経験と知識を活用して専門スタッフとして複数の若手チームをサポートしてもらう方法もあります。 若いという言葉には弱いとか未熟という語感があり、これを高齢社員に補助してもらいます。 2. 若い社員のイノベーションをチームで支える 多くの人事評価制度は企業の価値創造やイノベーションに対して社員個人に依存し過ぎているように見受けられます。 若手社員の着眼点や発想力を活用できるチームを社内に作るグランドデザインが必要になっています。 人材の多様性(ダイバーシティ)の重要性が言われてますが、チームで活動してこそ人材の多様性は活きていくと考えます。 若手社員の着眼点や発想力を引き出すには自主性が必要になると考えています。 1980年代にQCサークルが盛んに行われました。社内の少人数のグループで品質問題に対して自主的に考え対策する方法です。 QCサークルが衰退した原因はノルマを課して自主性が失われたためと言われています。 この時代は心理学の進歩により、社員のモチベーションは操作できると考えた人たちも多くいました。 QCサークルの考え方は良かったのですが、自ら努力することなく部下にQCサークルをやらせて自らの成果にする上司のためにやらされ感が高くて失敗しています。 しかし問題はそれだけではないらしいことが理解されるようになってきました。 当時のQCサークルで取り上げた問題は、単純なルールに従って明確な答えの出る問題でした。 しかし、QCの課題が高度化すると、QCの7つ道具をルーチン的にルールに従って適用しても思ったような成果が出なくなりました。 サークルメンバーには新たに視野を広めて考えることが必要になったのに対して、ノルマやインセンティブは視野を狭め、そこに心を集中させてしまった。 自主性を引き出すためには服従よりも参加が必要になり、その手段として説得よりも納得が重要になります。 企業は従来行われていた社員を金銭的報酬で説得する手法から、社員の自己実現や自身よりも重要なことの一部を担う仕事に参加する手法に転換する必要があります。 最近ではリンケージという言葉が使われるように、社員と会社の結び付きを強めていく以外に方法はないようです。 若手社員の着眼点や発想法を活かす取り組みは提案から始まります。それには若手社員が提案できる体制の整備が必要になります。 ポスト・イットで有名な3Mには勤務時間の15%を自分のプロジェクトに使用しても良いという制度があります。 マイクロソフトの場合は20%を使っても良いと言われています。若者活用にこのような制度を使うことをお薦めします。 失敗も恐れずチャレンジしてもらうため、失敗しても評価は下げません。但し、プロジェクトの結果は発表してもらいます。 提案 プレゼンテーション 試作・試行 評価 改善 制度化 レオナルド・ダビンチは現在にも通用するアイデアを生み出したが、その時代の技術では到底実現不可能なアイデアがほとんどでした。 日本では江戸時代にエレキテルを発明した平賀源内という人がいましたが、その時代の技術水準の他にアイデアを実現させる協力者がいなかったことも大きな成果に結び付かなかった要因と考えられます。 まず若手社員の着眼点や発想を提案してもらいます。 そして現在の技術水準で実現可能なのか、ニーズはあるのかをプレゼンテーションとして考えを纏め発表してもらいます。 次にプレゼンテーションで承認が得られたらベテラン社員に協力してもらい試作・試行し、評価、改善を繰り返し、製品化して行きます。 この時に社内の施設や設備等を若手社員が使用できるようにすることも重要です。 3. キャッチアップ経済の人事制度から抜け出す 2000年頃、日本はものづくりの技術は世界のトップクラスにあるのに、企業収益が低いのは戦略構想力が弱いためと主張する研究者がいました。 当時のものづくり技術(生産技術)は経験が重視されており、年功の効果が大きかったと見られます。 しかし、戦略構想力は経験による積み重ねではなかったのです。 一般的には齢を重ねると保守的になると言われています。 高齢になると、特に大きな成功を収めた人ほど、それまでの実績や経験を無意識に守ろうとして新しいことにチャレンジできなくなっています。 権力の源泉は「伝統」「権限」「共感」と言われています。 日本の戦略構想力の脆弱さは過去の成功体験に拘って新しい変化を受け入れることができず、「伝統」「権限」によって結果として保身を考えているためと思われます。 これからは「共感」が重要になってくと考えられます。 スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した2022年版「世界人材ランキング」で、日本の人材競争力は主な63カ国・地域中41位でした。 2019年から4年連続で下落し、前年より順位を二つ落としました。 IMDは毎年、各国・地域の人材競争力について、人材に対する「投資と育成」、国内、海外から人材を引きつける「魅力」、人材活用の「準備度合い」の3分野から調査、採点しています。 新卒社員は16歳〜25歳くらいまでが職業の探索期に該当し、様々な仕事とそれを確立する必用条件を探索していきます。 次第に仕事に対する興味が特定の仕事に収斂してきて、そのため学校等で教育や訓練を受け、その仕事に就くようになります。 それに先立って12歳〜18歳頃は青年期に該当し、「自分ってなんだろう」「自分は何がやりたいんだろう」「自分らしさって何だろう」と考える時期です。 「自分はこういう人間だ」とある程度確信できるようになれば、アイデンティティーが確立され職業探索がやりやすくなれます。 ただ探索期が終って確立期に移行しても再び探索期に戻ることあります。 中小企業が新卒社員を採用しにくく、中途採用を主としているのは、アイデンティティー確立や職業の適合性を指導する知識がないためと考えられます。 それに加え、生産管理を例に挙げれば生産の要素技術と生産管理技術の両方が必要になります。 仕事全般に例えれば、仕事の要素技術に加えて仕事を行っていくための段取り力、仕事の依頼の仕方等の技術が必要になります。 この後者を教えることが課題になっています。 昭和の人事制度で特徴的なのは体育会系の社員の採用にあったと考えられます。 タイムマシン経営と呼ばれているキャッチアップ経営を支えた人事制度でした。 今の大手スーパーの経営者が揃って先進地域のアメリカを視察して、今ある日本のスーバーマーケットを築き上げていきました。 そこでは社員に経営について考えることなく、経営者の経営方針に従って仕事をしていた時代でした。 与えられた経営ノルマを達成するために、決められた営業方法等を愚直に続けることが強いられていました。 これに最も適応していたのが体育会系と呼ばれる人たちでした。 仕事は苦そのものであり、お金のためだけに仕事を行っていると言っていた。 さしずめ前以外が見えないように目隠し(ブリンカー)をして競走馬のような状態が体育会系と呼ばれる人たちでした。 なお現在の一流のスポーツ選手は科学的に考えて練習しています。 1人ひとりの体は異なり、どのような練習をすればどのような筋肉が付くか考えながら練習しています。 マスコミ等でストイックに練習していると報じられることがあります。 しかし、昔ながらの体育会系の練習ではなく、成果が出るには時間が掛かり、結果が出るまでストイックに練習を続けています。 昭和の体育会系の名残を残しているキャッチアップ企業では生き残りは難しいと考えています。 |
【若手社員活用のための高齢者の仕事内容】 高齢社員が多いと若手社員を雇用できないという話を聞きますが、ここでは高齢社員がいつまでも生き生き働くために若手社員の育成を妨げるという話です。 若手社員活用するための高齢者の仕事内容について発想法のマンダラートを使って考えてみました。 マンダラートとは仏教で使われる曼荼羅(マンダラ)模様を利用したものです。 縦3マス×横3マスのマス目を描き、マス目の中心に課題を書き込みます。 周りのマスに課題に関連した解決策等を思いつくままに記入しています。
@の「現在の仕事をそのまま継続」は製造現場等でよく見られます。 高齢社員が生き生きと仕事を継続しても若手社員の育成に障害とならない形態です。 例えば、工場では工場長等の指導者がいて、作業マニュアルがあり、誰でも同一作業ができる仕組みがあります。 事務所で行っている会計処理は会計基準等で作業手順があり、高齢社員が体調を崩しても代替要員が社内外に多くいます。 例え高齢者が卓越した技術・技能を有していても、若手社員が事業継続できる技術・技能を有していれば実現可能な形態となります。 Aの技術指導とBメンター、Cリスク管理教育は対人関係能力を有する社員が若手社員の育成を行う形態となります。 まず製品や機械を対象としている場合は技術指導になり、そして営業活動等において精神面の育成を行う場合はメンターとなります。 次に長年仕事を行ってきて、まれにしか発生しない事象についての教育がリスク管理教育となります。 Dペア就労は徒弟制度を思い起こさせる制度である。しかし実際には体力の落ちた高齢社員を補助するために若手社員が一緒になって仕事をする形態です。 若手社員にとっては高齢者を補助するだけで、見返りとなる技術指導等をあまり受けられないという不満がある形態でもあります。 E若手社員の育成を妨げてしまうための対策の代表例は管理職定年です。後進に道を譲るという会社内の新陳代謝を促進する制度でもあります。 またポスト不足で若手社員の昇進が遅れると、社内のモチベーションの低下対策のために行われたものでした。 管理職の仕事内容はマニュアルでできるものでなく事後的なものです。 まず、昭和の管理職は欧米諸国に対するキャッチアップを第一に考える経営状況の下で育ってきているために、視野を狭くして目標達成する傾向が強く残っています。 それに対応して昭和の時代では体育会系の新卒採用行われていました。現在のスポーツ選手はサイエンスを重視する方向に変わっています。 現在の経営は視野を広くして対策を考える方向にあります。 そして、昭和の時代は挨拶に行き、自分を売り込むことが重視されていました。 現在はタイム・パフォーマンスが重視される方向にあり、何の提案ないのに繰返し挨拶に来られても困るようになりました。 管理職に近い育成が必要な例は営業職です。ディーラーではショールームでの営業を若手社員に譲り、若手社員の育成の場となっています。 ショールームで若手社員と高齢社員が同時に営業を行うと営業の上手な高齢社員がお客を掴み、若手社員が育たないためです。 営業とは異なるが、設備保全においても同様の問題が発生しています。 高齢社員が責任感を持って生き生きと仕事を行ってもらっていても、その社員が体調を崩すと若手社員が育っていないため設備保全に困るという状況に陥る例が出ています。 タクシー運転手の場合には給与は売上高の約半分程度となっています。 売上の多い深夜帯の運行は若手社員が担当し、高齢社員は昼間の駅等での待機が中心となっています。 若手社員の育成と高齢社員の雇用とにおいて排他的な関係が存在し、これをどの様に回避するかが課題となっています。 F専門スタッフは継続雇用制度が始まった頃にライン業務から外れた高齢社員がコピー等をするイメージがありましたが、固定費が増加するという問題がありました。 仕事の視野を狭めて、心を集中させて効率化を追求する仕事から、視野を広げて考える仕事に転換すれば専門スタッフとして活躍できる場が広がると考えます。 専門知識を持った専門スタッフとして仕事をしてもらいます。専門スタッフが仕事が継続できなくなった時は外部の専門家を活用することを考えます。 例えば銀行を高齢で辞めた人が製造業等の総務部長になられている例が多くあります。 銀行という職場で種々の会社をみてきた広い視野が求められているように思います。 G簡易な仕事は例えばE仕事内容の転換した高齢社員ができる範囲の仕事となります。 体力が必要な仕事で簡易な仕事に移り、その分給与も下がるという例が多く見れます。 介護士などが典型的な例です。看護師等は体力に見合った職場に転職する例が多く見られます。 最低賃金に近い清掃や弁当の仕事などは体力が落ちた分、給与を引き下げる余地がなく、その時は失職することが多くなっています。 一般的に大企業と比較して中小企業は労働集約的な企業が多く、景気循環の影響が雇用に及びやすい特徴を持っています。 高齢法で70歳までの雇用機会の確保が努力目標になっていますが、企業の枠を超えて転職できやすい社会の実現が好ましいと考えます。 管理職の仕事は@会社の持つ課題・問題の発見、Aその解決策の策定、B周りの人の協力を得ながら解決策を実行するです。 会社によっては管理職の担当を変えてている人事異動を行っています。 それができない会社も多くあります。そのように会社では担当した仕事の業績がトップの人を管理職にするという思い込みがあるようです。 変化の激しい時代には過去の業績にこだわることは変化できない会社を意味することになります。 管理職には適性のある若い社員を登用することが重要と考えます。 また、高齢者には職務給として仕事をしてもらうのが良いと考えます。 |
【評価制度の例】 現在、多くの企業が採用している人事評価制度は資格等級の階段を登る制度です。 いわゆる「仕事しらべ」によって、ある特定の職務等級はそれに対応した能力(複数の特定の仕事ができる)の評価制度と強く結び付いています。
人事評価には様々な基準と方法があります。一般的に「成果」「能力」「情意」を基準として評価する手法が多くあります。 「成果・業績評価」は一定期間中における業務の成果や結果です。 「能力・プロセス評価」では、与えられた職務を遂行する能力に対して評価を下します。 ただ「成果」や「能力」評価は多人数いるチームのような職場では評価しやすいが、職務に対して1人のように職場では評価しにくくなっています。 この場合多くの人事評価制度に職能給が使われており、それは職務給と能力給が一体となっています。 「情意評価」では勤務意欲や職務に臨む姿勢、いかに会社のビジョンに沿った行動をとれているかなどの観点から社員を評価します。 リスキリングでは能力は変更になりますが職務は同じであり、職務給では対応が難しくなっています。 |
【年功序列制度とは】 高度経済成長期には年功序列型人事制度が多く用いられてきました。 年功序列は、勤続年数や年齢が高くなればなるほどスキルやノウハウ、経験といったものが蓄積され、組織内における職務上の重要度が高まるといった前提に基づいています。 一つの企業で長きにわたり業務に携わることで蓄積された経験や技術、功労が「年功」であり、年功序列人事制度は社員の会社への帰属意識を高め、長期間会社へ従事させることに効果的でした。 これは、勤続年数、学歴、性別などにより給与が決まっていく制度になります。 「序列」とは等級制度であり、社員一人ひとりの能力やこれまでの業績を客観的に判断し、等級を決め、序列化(社員1人ひとりに順番を付ける)することで、それを元にして処遇を決定します。 一つの会社で長く勤務すればそれだけで自動的に一定の役職を得ることができる点に特徴がありました。 長く従事することを前提に働くため技術やノウハウの伝承をその企業で行っていく意識が社員同士で高まり、チームワークも発揮しやすいといった効果が得られます。 年功序列人事制度のデメリットは、能力の高い人財より低い人財のほうが高給与になるという事象も発生するため、不平不満が溜まりやすくなっていました。 【年功序列賃金の仕組みについて】 18歳の月額賃金が20万円、60歳の退職前のそれが60万円とする。60歳の人が退職し、代りに18歳の新人が入社したとします。 会社は給与支払い総額を変更することなく中間の19歳から59歳の社員に1万円づつ昇給することができます。 社員は毎年給料が1万円ずつ上昇します。賞与(ボーナス)についても同様です。 年功序列の問題は年功が直線的に増えていることであり、実際には仕事について初期の伸びが大きく、年数を重ねる程年功の伸びは下がってきます。 日本の賃金カーブは海外と比較して若い時の給与水準が低く、高齢になるほど高くなり過ぎるという欠点を持っています。 このことが少子化の大きな原因になっているように見受けられます。 今はグローバル化によって若い人達が海外で働くことも増えています。 そのためユニクロ等が若手社員を中心に給与の引き上げを行っています。 昇級・昇進についても同様です。定年退職して空いたポストに資格等級で序列1番の人が順に昇進して行くのです。 年功序列人事制度のデメリットは、能力の高い人財より低い人財のほうが高給与になるという事象も発生するため、不平不満が溜まりやすくなっていました。 年功序列人事制度のメリット・デメリットは、経済環境に適合できていたか、できなくなったことによって生じたものです。 【以外に多い年功序列賃金】 全ての産業で年功序列人事制度が適合できなくなった訳ではなく、少なくとも年功を使い続けている業界があります。 看護師や介護師、薬剤師等は資格を持って仕事を行い、同じ資格を持って仕事をして直接成果と結び付きにくい面をもっている職種です。 清掃や弁当生産等は日常生活で行っている仕事内容に近いため、人事評価制度の「仕事調べ」で評価しにくく、年功に頼らざるをないのです ソーシャルビジネス分野では仕事内容が時代と共に大きく変化することなく、年功で判断せざるをえない面があります。 ただ年功で判断しても、若い時は年功の伸びは大きいが、高齢になる程収穫逓減の法則に従って年功の伸びは少なくなります。 【役割行動給について】 役割行動給は「優れた業績を出し続ける人の思考・行動特性(コンピテンシー)」を元に、行動を軸とした等級設定を行うというものです。 日本企業の多くでは次の3つの区分により従業員を評価しています。 @ 能力:職務を遂行するために必要な能力 A プロセス:日常の発揮能力や取り組み姿勢 B 成果:業績、目標達成度などの結果 この役割行動給は営業部門で採用されることが多くあります。 成果給は因果関係の明確な仕事で視野を狭めて、そこに心を集中させる仕事に適しています。 例えばタクシー運転手です。お客を乗せられそうな街角を時間いっぱいまで流し、歩道の人に注意を集中することです。 成果給の場合ビギナーズラック(初心者の幸運)や、好業績者は既に顧客を持っていて、一から顧客作りを始める若手社員と比較するのは無理があります。 役割行動給では成果そのものを直接評価するのではなく、成果を生み出すプロセスを併せて評価する方法です。 かつて車の営業を行った時は訪問件数を増やせば成果(販売台数)に繋がると言われていました。 今はショールームでいかにお客様に来てもらい、お客様の持つニーズに対していかに提案していくかに変わっていきました。 日本の給与体系は若い時は給与が低く、高齢になるとその分を取り戻す生涯を通じた給与の後払い方式と言われています。 このことは高度成長期において終身雇用を強化し、キャッチアップ経済下において技術・技能の習得を加速した功績はあると思います。 実際は戦後の団塊の世代の若者が多く、サラリーマン生活の長い高齢者が少なかった時代背景を反映していると考えます。 今の時代は少子高齢化により、若者が少なく、高齢者が多い人口構造に逆転しています。 人事評価制度もこれに対応して変えていく必要があります。 海外と比較して若者の給与水準は低く、現在初任給や若手社員の給与の引き上げは過去の賃金カーブの是正という面があると思います。 最後に「ライフシフト」(リンダ・グラットン著)を紹介します。平均寿命が増加し、人生100年時代が現実のものとなってきました。 私たちはより若く、より健康に長い時問を過ごすかつてないチャンスを手にしているのです。 20歳代まではフルタイムの教育期間。20代から60代まではフルタイムの仕事生活、70歳頃からフルタイムの引退生活という3ステージの生活が大きく変わります。 従来のキャリア形成論では40代半ばまでにキャリアを確立し、その後は有利な地位を維持するとなっていました。 特に40代後半からそれまでに築いてきた優位性を維持するため、経営環境の変化に対応できなくなっているだけでなく、若手社員の育成に悪影響を及ぼしています。 キャリア形成論は比較的新しい学問ですが、今大きな転換点に差し掛かっています。 青年期は自分探し(自己確立、アイデンティティの一致)の時期ですが、最近は読書によって自分はどのような職業にいているかを知ることが推奨されるようになりました。 この本は決して突飛な事柄を書いたものでなく、今既に起こりつつある事柄を論理的に纏めた本です。 参考にしてもらえばと思います。 【参考資料】 ・Youtube ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 |
【ユースエール認定制度とは】 ユースエール認定制度とは若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を「青少年の雇用の促進等に関する法律」に基づき厚生労働大臣が認定する制度です。 認定を受けることで、様々な支援を受けることができます。
主な認定条件は下記です。
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