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  SWOTについて
      (2025年4月30日更新)        藤原 敬明
「SWOT分析を生かすには」
1.SWOT分析とは
 経営戦略書の作成にあたって、はじめに会社の強みを把握しておくことが重要です。 そのための方法の一つに、「SWOT(スウォット)分析」があります。 SWOT分析は自社の事業の状況等を強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して分析する方法です。 SWOT分析をすることで自社の強みが明確になり、経営戦略方針が明確になります。
 自社の強みは得意なことと言われることが多く、現在は品質の高い製品を高付加価値で売ることに関連していることが重要なっています。 付加価値ベースで自社の強みを把握している会社は少ないと言われています。 強みは価値創造に関連していることが重要です。 逆に弱みは低付加価値の事業となります。
 外部環境は社会全体の変化ということになります。 一般的には自社の強み・弱みに合わせて機会と脅威と考えている例が多い様に見受けられます。 自社の強み(高付加価値)に進展させることができるのを機会、それを阻止するのを脅威とすることをお薦めします。 言い方を換えれば、外部環境に対して自社の事業を進展させる、または外部環境の影響を阻止できる能力を強みと呼んでいる面がある。 それができない時は弱みと呼んでいる面がある。 具体的な戦略は次に出てくるクロスSWOT分析で考えることになります。

    プラス要因   マイナス要因
 
内部環境
  強み
Strength
自社の持つ強みや長所、得意なことなど
   弱み
Weekness
自社の持つ弱みや短所、苦手なことなど
 
外部環境
  機会
Opportunity
社会や市場の変化などでプラスに働くこと
   脅威
Threat
社会や市場の変化などでマイナスに働くこと


2.クロスSWOT分析
 SWOT分析で強み・弱み・機会・脅威が整理できたら、「クロスSWOT分析」で戦略の方向について考えていきます。 クロスSWOT分析では、内部環境と外部環境を組み合わせて、「強み×機会(積極化)」、「強み×脅威(差別化)」、「弱み×機会(改善)」、「弱み×脅威(防衛・撤退)」という4つのパターンで、戦略を明確にします。 自社の「強み」を活かして、「機会(ビジネスチャンス)」に対して、どんな行動や施策をとれば良いのかを検討します。 「有望なビジネスチャンスに対して良いところを活かしていく戦略」を考えることが一番大切です。
 外部環境は社会や市場の変化であり、機会と脅威は考え方次第という面も持っています。 ビジネスチャンスと思われる新市場が大きく成長する場合には大企業が参入してくる可能性が高くなります。 大企業と張り合って競争していく場合には成長期における資金需要に賄える能力があるかどうかが問題となります。 新市場がまだ小さい時にどこまで成長するかはわからないものです。 新市場が大きく育つ場合は大企業の脅威に対して事業売却やニッチな市場を分離する差別化を選択肢に入れておくことが必要と考えます。 競合や市場縮小などの「脅威」に対して、自社の強みを生かしたターゲット顧客の再定義や新事業を行う選択肢もあります。
 弱みは利益率やシェアの低い事業であり、ビジネスチャンス(機会)を活かすために、弱みを補強したり、改善したりする価値抽出戦略です。 「脅威」の影響を最小限にとどめるための防衛的な戦略となります。最終的には、事業の撤退も視野に入れる必要があります。


    内 部 環 境
 
    強み   弱み
 
機会
  強み×機会
自社の強みを成長機会に生かすための戦略を考える
   弱み×機会
機会を生かすために自社の弱みを補強するための戦略を考える
 
脅威
  強み×脅威
自社の強みを生かして脅威を切り抜ける戦略を考える
   弱み×脅威
自社の弱みを踏まえて脅威からの影響を最小限にする戦略を考える



 1980年代の自動車市場調査でスポーツ車は伝統的なフェアレディZやセリカ等の2ドアクーペの他にパジェロ等のRV車もスポーツ車と考えていることがわかった。 しかし、この調査結果に対して調査する側がこの消費者の考え方はおかしいと考えた。 この結論として1990年代に2ドアクーペのスポーツ車は販売台数が減り、新しいカテゴリーの車としてSUVが登場した。 消費者調査は当時なかったSUVを暗示していた。SWOT分析はビジネスチャンスを示していることもある。

 現在大きな変化があるものとしてSNSやAIがある。 カスタマージャニーとは「認知→興味→購入」といった「AIDMA」(アイドマ、Attention:認知→Interest:関心→Desire:欲求→Memory:記憶→Action:行動)や、 「AISAS」(Attention:認知→ Interest:関心→ Search:検索→Action:行動→Share:共有)などのフレームワークに代表されるプロセス積み上げ型が一般的でした。 新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)の影響によりデジタル施策の浸透が急速に進んだ結果、 「TikTokを見てコスメを即買う」「YouTubeを見てすぐに新型家電を買いに走る」などのSNSを通じて即時に商品を購入するという特徴が発生してきました。
フォロー・フォロワーの関係性よりも、いかに利用者にとって価値があるコンテンツを届け、滞在時間を伸ばすかを重視するTikTokの戦略が表れている。 以前は FacebookやX(旧Twitter)など旧来のSNSは、トップ画面にフォローするアカウントの投稿が並ぶことが当たり前だった。 つまり、フォロワー数が多いほど投稿が多くの人の目に止まりやすくなっていた。 それによって情報の拡散力が増し、さらなるフォロワーを呼び込むという好循環を生んでいた。
 しかしTikTokの登場後、InstagramやXといった多くのSNSが機能開発に追従し、AIのアルゴリズムによるコンテンツのレコメンドが主軸となった。 TikTok、X、Instagram、Facebookなどのプラットフォームは、収益の多くを広告から得るビジネスモデルです。 収益性を考えれば、それぞれがユーザーの滞在時間を延ばしたいと考えて、どのプラットフォームも顧客を囲い込みを行っている。
 カスタマージャニーにおいて認知の重要度は減り、記憶や関心の重要度が増していると考えられる。 従来のカスタマージャニーの考え方を捨てて、コンテンスの高度化を行う等の新しい対応に移行する必要があると考えます。

以上

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